老健入所中の医療機関受診【他科受診】

診察中の画像介護

こんにちは、なおです。
今回は、老健入所を検討している家族様むけ、施設入所後に起こりうる医療機関受診の基本的な考え方についてお伝えしていきます。

現在老健利用している方や、職員の方、他科受診についてイマイチ理解していないなという方向けの記事となります。

よくある疑問や悩みとして・・

老健入所中って医療機関受診できるの?できないの?
施設負担が発生すると聞くけどどういうこと?

などがあげられます。

こういった疑問や悩みを踏まえつつ、基本的な流れついてもお答えしていきます。

介護老人保健施設での医療

前提として知っておいていただきところで介護老人保健施設では、
入所者に必要な日常的な医療は医師やスタッフが担当することとされています。

日常的な医療とは、喀痰吸引や採血などがあります。

運営基準に「介護老人保健施設の医師は、不必要に入所者のために往診を求め、又は入所者を病院もしくは診療所に通院させてはならない。」と記載されているため原則、施設で診ていくということになっています。

介護老人保健施設入所中は、やみくもに受診する・させることが出来ないということになりますね。

施設の医師が診察をして医療機関を受診する必要があるかないか判断をする訳ですね。
そして、その医師の判断も不必要に受診させてはいけませんよ。ということになります。

また施設が行う日常的な医療の費用は、施設サービス費に含まれています。施設サービス費とは要介護①~⑤それぞれ○○単位と決められています。利用者が1~3割を一部負担金として施設へ支払います。

施設で緊急時医療行為を行った場合を除き、医療の費用は別途徴収されることはありません。

お薬代やおむつ代も施設サービス費に含まれているため別途徴収されることはありません。
包括報酬、マルメと言ったりします。

オムツを使っても使わなくても、薬を飲んでも飲まなくても、一律に要介護①なら○○単位と決められている訳ですね。

保険請求できる?できない?

医療機関を受診した際に保険請求できる、出来ないといった制約があります。

分かりやすく具体例を出すと・・
介護老人保健施設で対応できる医療行為を医療機関受診しおこなった場合は医療保険での請求が出来ません。介護老人保健施設で対応できない医療行為については医療保険請求が認められます。

上記に記載した施設サービス費(包括報酬(マルメ))に含まれているものを、医療機関で受けた場合医療保険請求が出来ないということですね。

施設入所者は施設サービス費(包括報酬(マルメ))として施設へ支払っているため、医療機関で保険算定されてしまうと自己負担金が発生してしまいます。

そしてその自己負担を支払ってしまうと二重払いになってしまうということになります。

【例】介護老人保健施設入所中に医療機関を受診し以下の検査など行った場合の費用について。

〇尿検査を行った場合・・
医療保険請求が出来ないため、尿検査費用は施設が負担することとなります。

尿検査は施設サービス費(包括報酬(マルメ))に含まれています。
施設で尿検査を行った場合、利用者は別途徴収されることはありません。

より具体的に・・。会計の際、検査費については

施設・・・10割(負担割合100%)、利用者・・・負担なし となり領収書が施設負担分と利用者負担分と2枚発行される事になります。

〇血液検査を行った場合・・
尿検査同様です。医療保険請求が出来ないため、血液検査費は施設が負担することとなります。

〇画像診断(レントゲン、CT、MRIなど)行った場合・・
医療保険請求ができます。

施設側の負担はありません。受診した利用者様は自己負担分を支払います。

具体例を出してみましたがご理解いただけましたか?

例はほんの一部で、保険請求できるもの・できないものが細かく設定されていて全て把握するのは医療従事者でも難しいです。

ですが安心してください。

この辺の細かなところは施設職員や医療機関職員が確認していくので、ご家族様は他科受診とはこういうものかと理解していただければOKです。

医療機関へ受診となった場合は施設入所中であることを記す書類をお渡しして対応するなど各施設によって取り組みがあると思います。

参考資料

こちらは施設内で膀胱留置カテーテル(バルーンカテーテル)交換が困難になったため外来受診した際の領収書になります。膀胱留置カテーテル交換は施設サービス費に含まれているため当然施設が負担することとなります。

外来請求書兼領収書画像

領収書の赤線部分【負担割合100%】となっています。病院側で分かっている場合このように施設負担分をわけて請求してくれます。

他科受診の調べ方が分からない・・という職員の方へ

【(株)社会保険研究所・全国老人保健施設協会】が発行している『他科受診の手引き』をみればある程度理解できるかと思います。施設にないという方は上司に相談してみてください!

全国老人保健施設協会のリンク貼っておきます。こちら

他科受診する際、”施設入所中であることを記す書類”をお渡ししても高頻度で間違って計算されてしまうのが現状ですよね。

他科受診より戻ったら領収書明細書などを確認し本人負担・施設負担があるかないか確認をしてください。「え?なにこの加算」「この処置は施設負担なのかな・・」など実務をしていると出てくることもあると思います。

そんな時は『他科受診の手引き』をみたり、検索などして調べることが大切です。

『診療報酬点数表』なども合わせてみていくとより理解できると思います。

大切なことは適正に判断することです。ご家族様が待っていると焦ってしまう・・先輩や上司に聞きづらい・・そんな方も多いと思いますが焦らずに、しっかりと調べてから答えるようにしてみてください。

老健(事務所)あるあるだと思いますが”焦らずに”が大切ですね(笑)

施設負担が増えると・・・

他科受診、包括報酬(マルメ)について理解いただけましたか?

これらのことを踏まえて、仮に施設が負担する金額が増えた場合どうなるか考えてみましょう。

例えば、1錠4,000円以上する高額な薬を毎日内服する。高額な注射(1本数万円)が定期的に必要・・などなどあるとします。これらは入所した場合施設が負担することになります。

仮に1万円が利用者様からの収入だったとして、人件費や医療費、おむつ代などで1万円を超えてしまった場合、単純に赤字となってしまいます。

こういった理由から老健入所できない、入所継続不可となることはあり得ます。

まとめ

介護老人保健施設入所してからの医療機関受診について記事にしてみました。

私が実務を行う中で、ご家族様・職員共理解するのが難しい部分かなと印象を受けています。

今回の内容を簡単に記すなら

施設で出来る医療行為・出来ない医療行為があります。

医療機関を受診した際に、施設で出来る医療行為は施設が費用を負担する、出来ない医療行為については利用者様本人が負担するということです。

そしてその医療機関受診の必要性があるかどうかを判断するのは施設医師による。

ということになります。

施設を利用するにあたり知っておくべきところであると思いますので参考にしてみてください。

以上が介護老人保健施設を利用する際に知っておきたい他科受診について内容になります。

介護サービスを受けるまでの一連の流れについての記事もあります。ぜひ読んでみてください。

こちら

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